2026年6月03日

健康診断では見つからない糖尿病や糖尿病予備群を発見する検査
健康診断で「血糖値は正常と言われたけれど、本当に大丈夫だろうか」と不安に思ったことはありませんか。
糖尿病の診断では空腹時血糖やHbA1cがよく用いられますが、これらが正常範囲でも食後の血糖値だけが高くなることがあります。
そのような隠れた糖代謝異常を調べるための検査が、75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)です。
75gOGTTとは
75gOGTTは、75gのブドウ糖を含む検査用飲み物を飲み、その後の血糖値やインスリン分泌の変化を調べる検査です。
① ブドウ糖摂取前
②ブドウ糖摂取後30分
③ブドウ糖摂取後60分
④ブドウ糖摂取後120分
上のようなタイミングで4回採血を行います。※当院では毎回針を刺すわけではなく、最初の1回目だけ、点滴の針を刺し、以降はそこから採血を行うことで患者さんの苦痛を軽減しております。
健康な人では、血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌され、血糖値は速やかに正常範囲へ戻ります。
一方で糖尿病や糖尿病予備群では、インスリン分泌の低下やインスリン抵抗性によって血糖値が高い状態が続きます。
どのような人に勧められる?
次のような方では75gOGTTが有用です。
健診で境界型(糖尿病予備郡)を指摘された方
の場合、糖尿病予備群が隠れている可能性があります。
過去に妊娠糖尿病があった方
妊娠中に妊娠糖尿病と診断された方は、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高いことが知られています。
家族歴がある方
両親や兄弟姉妹に糖尿病がいる場合は注意が必要です。
食後高血糖が疑われる方
食後にぼーっとしたり、眠くなるという方では、食後高血糖が隠れていることがあります。
何が分かるのか
75gOGTTは糖尿病や糖尿病予備群の診断に用いられる検査ですが、それだけではありません。
実は、この検査の大きな意義はインスリンの働き方を詳しく評価できることにあります。
血糖値だけでなくインスリン値も同時に測定することで、次のようなことが分かります。
インスリンが十分に分泌されているか
健康な人ではブドウ糖を摂取すると、膵臓のβ細胞から速やかにインスリンが分泌されます。
特に食後早期のインスリン分泌(初期分泌)は、食後血糖の上昇を抑えるために重要です。
しかし糖尿病の初期段階では、この初期分泌が低下していることが少なくありません。
空腹時血糖やHbA1cが正常であっても、75gOGTTによってインスリン分泌低下が見つかることがあります。
インスリンが効きにくくなっていないか
十分な量のインスリンが分泌されているにもかかわらず血糖値が高い場合、インスリン抵抗性が疑われます。
インスリン抵抗性とは、筋肉や肝臓、脂肪組織でインスリンが効きにくくなった状態です。
肥満や運動不足、内臓脂肪の蓄積などが関与すると考えられています。
75gOGTTは血糖値の推移とインスリン分泌のパターンを評価することで、その方の糖代謝異常の特徴を把握する手がかりになります。
なぜ重要なのか
糖尿病の初期は自覚症状がほとんどありません。
しかし、糖尿病になる前の段階から、
のリスクが高まることが分かっています。
特に日本人は欧米人と比較してインスリン分泌能が低いため、空腹時血糖が正常でも食後高血糖を呈することがあります。
75gOGTTは、そのような早期の異常を見つけるための有力な検査です。
検査を受ける際の注意点
正確な結果を得るために、
・検査前日は普段通りの食事を摂る
・検査前10時間以上絶食する。(検査前日は21時頃までに済ませて、朝ご飯を食べなければOK)
・検査中は飲食や喫煙を避ける
・激しい運動をしない
ことが大切です。
まとめ
75gOGTTは、糖尿病や糖尿病予備群を早期に発見するための重要な検査です。
空腹時血糖やHbA1cだけでは見逃される食後高血糖を評価できること、インスリンの分泌パターンを把握し、糖尿病の診断だけでなく、病態の把握ができます。
当院では75gOGTTを実施し、糖尿病の早期発見・早期介入に努めています。
実際に、健診の結果からは糖尿病と診断できなかった方が、当院で75gOGTTを行ったことで糖尿病と診断し、早期に治療介入ができた例、インスリンの分泌が予想以上に低下しており、将来の糖尿病の発症リスクを知ることができた例があります。
健診結果で血糖値が高い、糖尿病と言われたなど気になる方は、お気軽にご相談ください。