2026年7月03日

👋 はじめに
高血圧と診断されると、多くの場合「塩分を控えましょう」と言われます。
ただ実は、塩分の影響を受けやすい人(食塩感受性高血圧)と、あまり受けない人(食塩非感受性高血圧)がいることが分かっています。
「影響を受けないなら、いくら食べても平気では?」と思うかもしれませんが、話はそう単純ではありません。この記事では、食塩感受性高血圧についてやさしく解説します。
🧂 食塩感受性高血圧とは?
食塩感受性高血圧とは、塩分の摂取量によって血圧が大きく上下するタイプの高血圧です。反対に食塩非感受性高血圧では、塩分を多くとっても血圧の変化は比較的小さいとされています。ちがいを整理すると次のとおりです。
※「非感受性=塩分がまったく影響しない」という意味ではありません。
💧 なぜ塩分で血圧が上がるの?
塩分(ナトリウム)を多くとると、体は血液中のナトリウム濃度を一定に保とうとして、水分を体の中にため込みます。この流れで血圧が上がります。
通常は腎臓が余分なナトリウムを尿として出し、血圧はもとに戻ります。しかし食塩感受性の人はこの調節がうまく働かず、ナトリウムや水分をため込みやすいため、血圧が上がりやすくなります。
近年では腎臓だけでなく、血管内皮機能の低下・交感神経の活性化・RAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)の異常・慢性的な炎症・遺伝的要因など、複数の要素が関わることも分かってきました。
👥 食塩感受性になりやすい人
食塩感受性には個人差がありますが、次のような方に多いことが知られています。
- ✓高齢の方
- ✓腎機能が低下している方
- ✓慢性腎臓病(CKD)の方
- ✓糖尿病の方
- ✓メタボリックシンドロームの方
- ✓肥満の方
- ✓一部の内分泌疾患(バセドウ病・原発性アルドステロン症など)
- ✓家族に高血圧が多い方
- ✓黒人(アフリカ系)の方
日本人は欧米人に比べて食塩感受性が高いと考えられており、減塩の効果を得やすい集団とされています。
🔬 自分が食塩感受性かどうかは調べられる?
研究レベルでは「食塩負荷試験」「減塩試験」「遺伝子解析」といった方法がありますが、いずれも日常の診療で一般的に使われるものではありません。そのため外来では、食塩感受性かどうかを直接調べる検査は通常行いません。
実際には、次のような情報を組み合わせて総合的に判断し、治療方針を決めています。
- ✓家庭血圧
- ✓減塩前後での血圧の変化
- ✓年齢
- ✓腎機能
- ✓合併症の有無
⚠️ 食塩非感受性なら減塩しなくてもいい?
血圧があまり変わらなくても、塩分のとりすぎ自体がさまざまな病気のリスクを高めることが報告されています。
具体的には、心不全・慢性腎臓病・脳卒中・胃がんなどのリスク上昇が知られています。また、長期間にわたる過剰な塩分摂取は、血圧以外にも血管や臓器へ悪影響を及ぼす可能性があります。
つまり「血圧が上がりにくい=安心」とは言えないのです。
🍽 どのくらい減塩すればよい?
日本高血圧学会の目標値。一方、日本人の平均摂取量は約9〜10gで、多くの方が目標を上回っています。
無理に極端な減塩をする必要はありません。次のような小さな工夫を積み重ねることが大切です。
📌 まとめ
この記事のポイント
- 食塩感受性高血圧とは、塩分によって血圧が上がりやすい体質のこと。
- 塩分の影響を受けにくい食塩非感受性高血圧もあるが、日常の診療で簡単に判定する方法は今のところない。
- そのため高血圧の治療では、感受性の有無にかかわらず適切な減塩が基本。
- 減塩は薬に頼らず血圧を改善できる生活習慣のひとつ。毎日の食事を少し見直すことが、将来の脳卒中・心筋梗塞・腎臓病の予防につながります。