2026年7月14日
最近、気温が高くなってきました。夏の強い日差しや、じめじめとした蒸し暑さが続く季節に増えてくるのが「熱中症」です。「自分は大丈夫」と思っていても、屋外だけでなく室内でも起こり、ときに命に関わることもあります。でも、正しい知識があれば、こわがりすぎずにきちんと予防・対処できる病気でもあります。このページでは、熱中症の原因から症状、応急処置、毎日の予防法などをやさしく解説していきます。
熱中症とは
熱中症は、高温多湿な環境で体温を調節する働きがうまくいかなくなり、体の中に熱がこもってしまうことで起こります。気温が高い日はもちろん、湿度が高い日や風の弱い日にも起こりやすく、「外に出ていなかったのに…」という室内での発症も少なくありません。
近年は夏の猛暑が続き、毎年たくさんの方が救急搬送されています。重症化すると意識障害や多臓器不全につながり、命に関わることもあります。だからこそ、「なんだかおかしいな」と思ったら早めに動くことが、何より大切です。
熱中症の原因
私たちの体は、汗をかいたり皮膚から熱を逃がしたりして、体温を一定に保っています。ところが、次のような状況が重なると体温調節が追いつかなくなり、熱中症が起こりやすくなります。
- 気温・湿度が高い
- 水分や塩分が足りていない
- 長時間の運動や屋外での作業
- エアコンを使っていない室内
- 発熱や下痢などで脱水になっている
熱中症になりやすい人
次のような方は、ちょっとだけ意識して気をつけてあげてください。
- 高齢の方
- 小さなお子さん
- 糖尿病の方
- 心臓病・腎臓病のある方
- 肥満の方
- ふだんあまり運動をしない方
- 暑さに慣れていない方
- 屋外で仕事やスポーツをする方
糖尿病の方は特に注意
糖尿病があると脱水になりやすく、自律神経の影響で汗をかきにくくなることがあります。さらにSGLT2阻害薬を飲んでいる方は尿の量が増えるため、ふだんよりもこまめな水分補給を心がけましょう。
熱中症の症状
熱中症は、重症度によって出てくる症状が変わります。次の表を目安に、今どのくらいの状態かをチェックしてみてください。
| 重症度 | 主な症状 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 軽症(Ⅰ度) | めまい、立ちくらみ、大量の汗、筋肉のけいれん(こむら返り)、手足のしびれ | 涼しい場所で休み、水分・塩分を補給 |
| 中等症(Ⅱ度) | 強い頭痛、吐き気・嘔吐、強い倦怠感、集中力の低下、ぐったりする | 自分で水分がとれない・改善しないときは医療機関へ |
| 重症(Ⅲ度) | 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない、けいれん、まっすぐ歩けない、高体温(40℃前後)、水分が飲めない | ためらわず119番・救急要請 |
重症(Ⅲ度)のサインが一つでもあれば、迷わず救急車(119番)を呼んでください。ためらう必要はありません。
応急処置(熱中症かな?と思ったら)
「熱中症かも?」と思ったら、あわてず、まずは涼しい場所へ移動しましょう。そのうえで、体を冷やして水分を補給します。次のことを、落ち着いて行ってみてください。
- 衣服をゆるめて、体を楽にする
- エアコンや扇風機で風を送る
- 首・脇の下・足の付け根を保冷剤などで冷やす
- スポーツドリンクや経口補水液を少しずつ飲む
こんなときは、すぐに119番を
- 意識がおかしい(呼びかけに反応しない)
- 自分で水分が飲めない
- 嘔吐を繰り返す
- 休んでも良くならない
- けいれんしている
水分補給の正しい方法
「とにかく水を飲めば大丈夫」と思われがちですが、実はそうとも限りません。たくさん汗をかくと、水分と一緒にナトリウムなどの電解質も失われます。長時間の運動や屋外作業のときに水だけをがぶがぶ飲むと、かえって低ナトリウム血症(いわゆる塩分不足)になってしまうこともあるのです。
汗をたくさんかいたときは、水分と塩分をセットで補給するのがポイントです。
- 経口補水液
- スポーツドリンク(糖分の摂りすぎには注意)
- 塩分を含む飲み物や食べ物
ただし、高血圧・心不全・腎臓病などで水分や塩分の制限がある方は、自己判断せず、まず主治医に相談してくださいね。
熱中症を予防する方法
① のどが渇く前に水分補給を
「のどが渇いた」と感じたときには、すでに軽い脱水になっていることがあります。時間を決めて、少しずつこまめに水分をとる習慣をつけましょう。
② エアコンは我慢しないで
年齢を重ねると、暑さそのものを感じにくくなります。「もったいない」と思わずに、室温が28℃を超えないよう、エアコンを上手に使いましょう。
③ 暑さ指数(WBGT)をチェック
気温だけでなく、湿度や日差しも熱中症のリスクに関わります。危険レベルの日は、無理な運動やお出かけは控えめにしましょう。
④ 少しずつ暑さに体を慣らす(暑熱順化)
本格的に暑くなる前から、ウォーキングや軽いジョギング、入浴などで少しずつ汗をかいておくと、暑さに強い体づくりにつながります。
高齢者で熱中症が多い理由
年齢を重ねると、次のような理由から熱中症が重症化しやすくなります。
- のどの渇きを感じにくい
- 汗をかきにくい
- 暑さそのものを感じにくい
- 腎臓の働きが低下している
また、「エアコンが苦手」「電気代が気になる」と、つい我慢してしまう方も多いようです。でも、高齢の方の熱中症は、その多くが室内で起きています。暑い日は、遠慮なくエアコンを使ってくださいね。
熱中症と間違えやすい病気
熱中症だと思っていても、実は別の病気が隠れていることがあります。たとえば、次のような病気です。
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 敗血症
- 低血糖
- 脱水症
- 髄膜炎
特に高齢の方は、症状だけで見分けるのが難しいこともあります。症状が強いときは、自己判断せず医療機関で診てもらうと安心です。
医療機関を受診した方がよい症状
次のような場合は、早めに受診してください。
- 水分をとっても良くならない
- 頭痛や吐き気が続く
- 高熱が続く
- 意識がぼんやりする
- 尿が極端に少ない
- 持病がある
当院では、必要に応じて血液検査を行い、脱水・腎機能障害・電解質異常・横紋筋融解症などがないかを確認したうえで、点滴治療などを行います。
よくある質問(FAQ)
Q. 熱中症は室内でも起こりますか?
A. はい、起こります。実は、高齢の方の熱中症の多くは室内で発生しているんです。エアコンを上手に使うことが、いちばんの予防になります。
Q. スポーツドリンクと経口補水液はどちらが良いですか?
A. 軽い運動のときはスポーツドリンクでも大丈夫ですが、脱水が強いときは経口補水液のほうが向いています。
Q. 熱中症になった日はお風呂に入っても大丈夫ですか?
A. 症状がすっかり良くなっていれば、入っても問題ないことが多いです。ただ、発熱や脱水が残っているときは避けて、しっかり水分をとってから入るようにしましょう。
Q. 一度熱中症になると繰り返しますか?
A. 一度熱中症になると、その年は暑さへの耐性が下がり、再発しやすくなるといわれています。しっかり休んで、少しずつ暑さに慣れていくことが大切です。
まとめ
熱中症は誰にでも起こり得る病気ですが、正しい知識があれば、きちんと防ぐことができる病気でもあります。特に高齢の方や、糖尿病・高血圧などの持病がある方は重症化しやすいので、こまめな水分補給・エアコンの活用・無理をしないことを心がけてくださいね。
「なんだか少しおかしいな」と思ったら、まずは早めに休んでください。それでも良くならないときや、意識がぼんやりする・強いだるさがあるといったときは、迷わず医療機関を受診しましょう。
北柏駅前内科・糖尿病・甲状腺クリニックより
- 熱中症や脱水症状の診療を行っています。
- 「これって大丈夫かな?」と気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。