2026年6月17日

なぜ息が止まるの?
眠っているときに息が止まる「睡眠時無呼吸症候群」には、大きく分けて閉塞性(OSA)と中枢性(CSA)の2つのタイプがあります。
症状が似ていても原因はまったく異なるため、治療法も変わってきます。それぞれを項目ごとに見ていきましょう。
閉塞性は、眠ると体の筋肉がゆるんで、のどの奥(舌の根元や軟口蓋)がペタンとつぶれ、空気の通り道がふさがってしまうことで起こります。
脳は「呼吸しなさい」と指令を送り続けているのに、通り道が閉じているため空気が入ってこない状態です。
中枢性は、のどの通り道自体には問題がないのに、脳が一時的に「呼吸しなさい」という信号を送るのをやめてしまうことで起こります。
体に呼吸する力はあるのに、指令が届かないために息が止まってしまいます。
気づくきっかけになる症状
閉塞性では、大きないびきが典型的なサインです。突然いびきが止まったかと思うと、ガバッと息を吸い直すというパターンをくり返します。
朝起きたときに頭が痛い、昼間ひどく眠いという方も多くいます。
中枢性では、いびきが少ない、あるいはまったくない場合も多く、周りの人が気づきにくいのが特徴です。夜中に何度も目が覚める、息苦しくて目が覚めるといった訴えがよく聞かれます。
なりやすいのはどんな人?
閉塞性は、太り気味の方(特に首まわりに脂肪がつきやすい方)、あごが小さい・引っ込んでいる方、扁桃腺が大きいお子さんなどに多く見られます。お酒をよく飲む方や、睡眠薬を使っている方もリスクが高まります。
中枢性は、心不全や脳卒中を患っている方に多く見られます。
強い痛み止め(オピオイド系薬)を長期に使っている方、高い山に滞在している方にも起こることがあります。
どうやって調べるの?
どちらのタイプも、1時間あたりに何回息が止まるかを測る「無呼吸低呼吸指数(AHI)」という数値で評価します。
まずは簡易検査で調べ、睡眠時無呼吸症候群があるかを調べます。
2つのタイプを見分けるポイントは、息が止まったときに「胸やお腹が動いているかどうか」です。
体が一生懸命呼吸しようとして胸腹部が動いていれば閉塞性、まったく動きがなければ中枢性と区別できます。これを正確に区別するためには精密検査(PSG)が必要です。
当院では簡易検査と精密検査(PSGの)どちらも自宅で行うことができます。
治療の基本的な考え方
重症の閉塞性の治療では、CPAP療法(シーパップ)がよく使われます。
鼻や口を覆うマスクから空気を送り込み、のどがつぶれないようにする装置です。
症状が軽い場合(軽症から中等症)は、マウスピースや生活習慣の改善(体重を落とす、横向きで寝るなど)が効果的なこともあります。
中枢性では、まず原因となっている病気の治療が最優先です。
たとえば心不全が原因であれば、その薬物療法や心臓の治療を進めることで、無呼吸が改善することがあります。
状況によっては呼吸をサポートする特殊な装置(ASVなど)が使われますが、心臓の状態によっては使えない場合もあるため、必ず循環器専門医と相談しながら進めることが大切です。
放置するとどうなる?
閉塞性を治療せずにいると、高血圧・糖尿病・心臓病・脳卒中といった病気のリスクが高まることがわかっています。また、昼間の強い眠気による交通事故や仕事上のミスにもつながりやすくなります。
中枢性を放置すると、心臓や脳への負担が続き、もともとある病気(心不全など)がさらに悪化するリスクがあります。体のだるさや疲れ、集中力の低下も続くため、生活の質にも大きく影響します。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、「閉塞性」と「中枢性」でその原因がまったく異なります。
閉塞性はのどの通り道がふさがることで起こり、中枢性は脳からの呼吸指令が途切れることで起こります。
どちらも放置すると心臓や脳に深刻な影響を及ぼすことがありますが、正しく診断して適切な治療を受ければ、症状を大きく改善することができます。
「いびきがひどいと言われる」「朝起きても疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚める」——そんな心当たりがある方は、もしかしたら睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれません。ぜひ一度、当院にご相談ください。